Night Dawns

□第二片 この世界で
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第二片 この世界で

オレ達はメンツェール学園の内部を歩きながら校長室へと向かっていた。
長い廊下の両端には、ガーゴイルのような像がところどころに並んでいる。階段は、螺旋階段のところもあれば途中で段が抜けているところもあった。
踏み外してしまうとかなりの高さから落ちてしまうらしく、オレはドキドキしながら階段を上っていった。
レンは「離れるなよ」と言って、オレ達の前を歩いて先導してくれている。
オレは足元に注意しながら。異世界というものを満喫していた。

やっぱりファンタジーな世界は違うなー…
おぉ、本が飛んでる!
あっちは石像が動いてる!凄いなー!

オレが周りにある不思議現象を堪能していると、前方から生徒と教師らしき人たちが歩いてきた。
教師らしき人物は、金髪に癖っ毛で頭に羊の角のようなものが付いている。そしてなぜか白衣を着ている。
生徒の方は穏やかな顔をしていて、髪は夜のような深い青色、瞳はアメジストのような綺麗な色をしていた。

やっぱりここの世界の住人も、オレの世界とは違うんだな…

若干ずれたことを思っていると、教師らしき人物がレンに片手をあげながら近づいてきた。

「あーレン君じゃないですかー」

「メリーか…何してんだこんなところで」

メリーと呼ばれた人物はダルそうな仕草で後ろを振り向き、一人の生徒に目を向けてこれまたダルそうに喋った。

「僕はですねー、これからオリオン君と一緒に校長室ですよ。
呼び出しをされたのでー」

「何かやったのか?」

レンがそう問うと、メリーの後ろにいた生徒が口を開いた。

「いーえ、俺は校長室に呼ばれるような悪いことはしてません。
分かっていてそんな事を聞くんですから、レン先生も人が悪いですね」

オリオンという少年が何かを含んだ笑顔でそう言うと、レンは頭をかきながら「参ったな…」と言った。

「それより、その子は誰ですかー?新入生?」

レンの後ろに立ってボーっとしていたオレは、いきなり自分のことが話題に出てきて焦った。

「オ、オレは星野 圭っていいます!」

「ホシノ ケイ?そっかそっかー
ホシノがファミリーネームだよね?」

「あ、そうです」

「そうかそうかー。ケイ君かー」

メリーさんは、何度か俺の名前をつぶやくと「よし、覚えたぞー」とやる気のなさそうな声で言った。

「あぁそうだ、自己紹介がまだだったねー
僕の名前は……うん、とりあえずメリーって呼んでね。
調合薬を教えているんだー」

「はぁ…」

とりあえずって?
なんか訳ありなのか?この人…
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