悪・人・天・魔 〜トリップ会社〜 オリジナル

□♪サン♪ チカラ
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亜久波:「ふぅ…。これくらいかな…。」

 亜久波は軽く息を吐き、淡く光って消えていく小天使を見届けてから、後ろを振り返り叫んだ。

亜久波:「駆狼羽は終わった?」

 駆狼羽は目の前にいた数人の小天使をなぎ払うと、武器のトンファーを構えるのをやめて亜久波に答えた。

駆狼羽:「ああ。さっきので最後だ。」
亜久波:「そっか。…それにしても、誰も天使が来ないなんて少しおかしくない?」
駆狼羽:「おまえ、菜天に会いたかったのか?」

 駆狼羽が少し笑いながら亜久波に聞くと、亜久波は怒ったように返した。

亜久波:「誰が。あんな奴に会いたい訳無いでしょ!そう言う駆狼羽こそ、クロウに会いたかったんじゃないの!?」

 それを聞くと駆狼羽は顔をしかめながら、鼻で笑った。

駆狼羽:「フン…。それこそ地獄が滅びてもありえないな。」
亜久波:「ハァー。もういいや。喧嘩しに来たわけじゃないし、第一、天使に会って喜ぶのは、涼瑞達だろうし。」
駆狼羽:「そうだな。…天使どもが来ないのも大方想像がつくぞ。多分俺達の様に小悪魔でも狩りに行っているのだろう。まぁ、誰かし「また派手に壊しましたね(笑)」

 「誰かしらは居るだろうがな。」と続く筈だった駆狼羽の言葉は、何処からか聞こえた声に遮られた。
 亜久波と駆狼羽が声のした方に顔を向けると、そこには微笑みを携えたマスターがいた。
 悪魔2人は『ゲッ』とした顔をして思った。

((こいつには会いたくなかったな。…ていうかマスターに会って喜ぶのってライズくらいだ…。))

 ピッタリ心の声を合わせた2人を、マスターは相変わらず微笑みながら言った。

マスター:「そうですねぇ(笑)」

 ニコニコニコ…

駆狼羽:「……やはり誰かしらは居るだろうと思っていたが、マスターが先に着くとは…。」
亜久波:「こういう時は氷華が先に来そうなのにね。」

 2人は色々と聞きたい(つっこみたい)所もあったが(どうして心が読めるのか、どうやったら読めるようになるのか、何故嬉しそうなのか、というか(笑)って…、とかその他諸々…)、とにかくこの人には出来ない事はないのだ…と自分を抑え(自分の為に)、話を逸らす事に成功した。
 「残念ですね(笑)」…と、聞こえた声も聞いていない振りをした。

 その時、微妙な雰囲気が漂う其処に、声が割り入った。

氷華:「やはり、亜久波と駆狼羽でしたか。…どうしてこんな事になったのかは、想像はつきますが…やりすぎです。」

 険しい顔をした氷華だった。
 改めて周りを見渡すと、地面はいたるところが抉れ、木も草花達もグシャグシャ…、普段なら楽しそうな小天使達の会話が聞こえるそこは、シーン…としていて時折重傷者の痛そうな呻き声が聞こえるだけ…。
 亜久波と駆狼羽は少し悪いと思ったのか。顔が曇った。

マスター:「氷華、少し落ち着きましょうか。」

 こんな時でもマスターは笑っていた。

氷華:「マスター…。そうですね…。」

 氷華は険しい顔を解いた。しかしまじめな顔で、

氷華:「貴方達が、小天使達を虐殺し、ここをこのように破壊したのは、トリップ会社の…あの任務の為に力を集めようとしたのですね…?」
亜久波・駆狼羽「うん。」「ああ。」

 3人の会話を聞いていたマスターは、氷華に思いだした様に言った。
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