キリ番

□ミッション00
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「しっ、神羅カンパニーのみなさん!ソルジャークラス2nd、ザックス・フェアです!」



あぁ、泣いてもいいかな。
こっち見ないでくれ、みんな。
でも言わなきゃどんなひどい目に遭わされるか、わかったもんじゃない。
女の子がいないことが、唯一の救いか。
いや、この場合は男ばっかりのほうが問題なのか。
泣きたいよ、あぁ、泣きたいさ。
半泣きのまま、自棄になって叫んだ。



「俺はっ…ぉ、ぉ、男の子が大好きだバカヤロォオ!」






















ミッション00























任務もなく、退屈な午後。
平和なことを退屈と言うのはおかしいかもしれないけど。
トレーニングルームで体力測定でもしてこようかと、閑散としたソルジャーフロアを歩く。
今日は、セフィロスは野暮用のあとで検査があるとか言ってた。
カンセルも実家に帰っているらしい。
仲の良い奴らも、今日に限ってどこかに出払っていて。
溜息混じりに、トレーニングルームの扉を開いた。



「う、わ!」

「まずいな」

「逃げ……る必要は無さそうだぞ」



……ええっと。
説明しがたい、今の状況。
セフィロスが、あの長ったらしい刀を構えてて。
ジェネシスが、頭の上にすごく色の悪いリンゴを乗せていて。
アンジールが、真っ二つになった可哀想なリンゴを、ナイフで可食部だけ切り取ってる。
…すごく微妙な光景だと、伝わればいい。



「…あの、何やってんの、あんたら…」



疑問に思わざるを得ないだろ。
だって、微妙すぎるんだよ。
構図とか、配役とか。
よく西部劇とかである、リンゴを頭の上に乗せてパァン、の剣版ってところだろうか。
危なすぎるだろ、どう考えても。



「遊びだ」

「遊び!?」

「混ざるか?」



くつくつと笑うジェネシスに、なんとなく、嫌な予感がする。



「…えぇっと、つまり…」

「的になれ」



拒否権はないとばかりに、頭の上にまだ無傷の、きっと数分もしないうちに真っ二つになって、アンジールにウサギ形に整えられるのだろうリンゴを乗せられる。
非常に楽しそうなところを悪いんですが、ジェネシスさん、ホントに勘弁してください。
アンジールも笑ってないで、助けてくれ。
あとセフィロス、マジで怖いから、刀向けるのやめてほしい。
ていうか、野暮用ってこれかよ!



「あの、俺、もうちょっと長生きしたい――…」

「いくぞ」



言葉を遮って、少し離れた位置から、構えた剣を投げる動作に入った。
所までは、見てた。



「うっわぁぁあ!!?」



頭を抱えて、思い切り身を屈めた。
だって、仕方ないだろう。
怖いよ、マジで怖いよ。
ぶん投げられた刀とか、泣きそうなくらい怖いよ。
恐る恐る振り返れば、真ん中に穴を開けたリンゴが、壁に縫いつけられてるのが見えた。
神羅の施設を壊すな、とか。
リンゴが可哀想だ、とか。
色々言ってやりたかったけど。



「生きててよかった…」



それしか、言えなかった。





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