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□迷惑で災難で、本当は
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「だからね、俺は女の子が好きなんだって」
両手の指じゃあ数えられないくらいの回数、重ねた否定。
目の前の二人は、相変わらず何の話かわからない、といった顔をしている。
「何が不満なんだよ、と」
「睫は女より長いぞ」
「あのさ、もっと根本的なところから考えようぜ。っていうか、どけ。離せ」
そうです。
俺、ザックス・フェアは現在、神羅の英雄様とタークスの自称エースに押し倒されております。
以上、ザックスさんの部屋から中継でした。
あまりにアレな現状に、頭は勝手に現実逃避を始める。
「今日はローションも拡張具も持ってきたんだ、もう文句はないだろう」
「あるよ!何で俺がそんな目に…!」
「決まってんだろ、と」
びっと人差し指を立て、レノはにっと笑う。
何か含んだような笑みを浮かべたセフィロスと、同時に発した言葉。
「「お前のことが好きだからな」」
迷惑で災難で、本当は
この奇妙な関係が始まったのは、三ヶ月ほど前にさかのぼる。
任務帰りの俺を捕まえて、滅多に見ない組み合わせの二人が並んでいた。
「俺と」
「俺とお付き合いしませんか、と」
「…ザックス、俺のものになれ」
セフィロスの言葉を遮るようにして言うレノと、すこしむくれた顔をしたセフィロス。
差し出された手の意図が理解できず、首を傾げていた。