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□Hey,hey,calling me
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相棒よりは遠い存在。
トモダチかと言われれば、それ以上で。
肩を並べて笑い合うだけの関係。
付かず離れず、この距離が心地良いんだ。






















Hey,hey,calling me























『だから、こないだお前が賭けで負けただろ、と!』



寝起きの頭に響く声。
折角の休暇だというのに、コール音で目が覚めたかと思えば、昼飯を奢れとレノは言う。
寝惚け眼で掛け時計に目を向ければ、日付をまたいで任務に出ていたせいか、すでに正午を回っていた。



「んー…だから、今日はパス…ねむい」

『お前、そう言ってまたはぐらかすつもりだろ、と』

「人聞き悪いなぁ、明日じゃだめなのかよ」

『俺は明日から一週間、アイシクルに調査任務だぞ、と』



先週の今頃にした賭け事は、何だったか。
覚えてはいないが、どうせいつもと同じ、他愛のない会話の末の、口喧嘩混じりの賭けだっただろう。



「ん、いってらっしゃい」

『だから、先に奢れっつってんだよ、と』

「わかった、わかった。けど、晩飯にしてくれよ。俺、今起きたとこなんだよ」



欠伸混じりに、取り付けた約束。
給料日直後のこの時期を、レノは狙っていたのだろうか。
通話を終えて、携帯を閉じる。
約束の時間は、午後六時。
終業時間の三十分後に、行きつけのバーで。
あと六時間を、何をして過ごそうか。
考えていれば、もう一度、欠伸が漏れる。
寝直そう。
決め込んで、硬いベッドに倒れ込んだ。






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