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□シアワセノオト
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弟みたいにかわいくて。
それでもふいに見せる大人っぽい表情が、甘えていいよと優しさをくれる。
ただ、同じ時間を過ごせるだけで。
幸せなのだと、感じられるんだ。






















シアワセノオト























「クラウド、今度の日曜って、暇?」

「ぇ…うん、空いてるよ…」



任務から帰る途中の、トラックの荷台の上。
相変わらず乗り物酔いが酷い俺は、横になって空を仰いでいる。



「んじゃあ、クラウドの家、遊びに行ってもいいかな」

「えっ!?」



ザックスが突然思いついたひとつの提案に、驚いて体を起こす。
けれど、酔った頭のままの俺は、そのままへたりとトラックの壁に凭れかかった。



「おい、大丈夫か?」

「う…うん……」



何よりも大丈夫じゃないのは、二日後にザックスが家に来ることだ。
任務の間、しばらく家を空けていたから、埃だって溜まっているだろう。
それでなくても、ザックスが来る前はいつも気を使って掃除をしているのに。
今日帰ったら、またすぐに次の任務に向かわされる。
その上給料日前だから、あまり良い食事も出せそうにない。
幻滅されたくはないけど、断って残念な顔をさせるのも嫌だ。
ふらふらする頭を抱えながら、小さく溜息を吐いた。



「久しぶりに一緒に居れるんだ。俺、早起きするからな!」

「ぁ、ぅ、うん…」

「…あれ?嫌だった?」

「いやっ、全然嫌じゃないけど…」



もう一度荷台に横になりながら言えば、ザックスは嬉しそうに、笑った。



「じゃあ、約束だからな」



ゆっくり休めよ。
そう言われて頭を撫でられる感覚に、もう一度溜息を吐いた。







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