キリ番

□子犬の飼い方
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先輩。
間違ってはいないのだが、何となく違和感がある。
上司。
それも、どことなく微妙だ。
世話係。
そう言われると、確かにそんな気もする。

飼い主。
何だかんだで、それが一番しっくりくる関係なのだ。






















子犬の飼い方























「セフィロス!」



任務帰りに、報告のためにソルジャー司令室に寄った後。
帰ったら一緒に映画を見ようと、ザックスに誘われていた。
報告があるからと、ブリーフィングルームで待たせていたのだ。



「待たせたな」

「いいんだよ!で、あのさ!」

「落ち着け……話は、歩きながらでも出来るだろう」



席を立ち、駆け寄ってくるザックスに、小さく笑みを零す。
飼い主を見つけた犬のようだと、思う。
以前、アンジールが言っていた。
手の掛かる子犬が、入ったと。



「だな!あのさ、このあいだ借りてきたんだ!サバイバーVのDVD!俺、ずっと見たかったんだよなぁ」

「…そんなに面白いのか?」

「んー、カンセルが面白いって言ってたぞ」



からからと笑うザックスに、そうか、と適当な相槌を打ち。
背を向けて部屋を出れば、置いてくな、と声が掛かった。



「俺はさぁ、断然キール派だな!」



役者の名を一人挙げながら、にっこりと笑う。
最近、ソルジャー達の間で話題のアクション映画。
演出が凝っているのだという。
お蔭で、歳若いソルジャー達の中には、ミッションの最中にもその動きを真似て遊ぶ者さえ現われたという。
報告書の中で上がっていた、あまりにくだらない問題。
思い出して、また溜息を吐いた。





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