キリ番

□曖昧な関係
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「…あのさ、俺、もう立派なオトナなんだけど」

「何を言う、まだまだ子供だろう」

「…そりゃ未成年だけどさ、就職して稼いでますけど」



何が楽しいのか、コイツはいつも、俺を膝の上に乗せては、子供をあやすように頭を撫でたりする。
これを外でやられないだけ、マシかもしれないけど。
部屋で二人きりになると、いつもそうだ。
寒い日も暑い日も、とにかくべったりくっついてきて。



「ザックス」



耳元で名前を呼ぶときは、セックスの合図。
これがまた、くすぐったくて、嫌になる。
それも、最中のような甘い声で呼ぶから。
流されてしまう自分が、すごく悔しいんだ。






















曖昧な関係























「どういう意味だ」



あからさまに不機嫌な声で、セフィロスは言う。
どういう意味って、言ったとおりの意味なんだけどな。



「だから、今日はしない」

「何故だ」

「あんたこそ、何でそんなに俺と寝たがるんだよ」



溜息混じりに言えば、セフィロスは眉間に皺を寄せて、拗ねたような顔をする。
玩具を取り上げられた子供みたいだ。
…って言うと、俺がセフィロスの玩具みたいに聞こえるから、やっぱり違う。
好きな食べ物を取り上げられたような顔だろうか。
いや、それも微妙だな…。
同じような喩えしか思い浮かばない頭に、少しうんざりした。



「気持ちよくはないのか?」

「そういう問題じゃなくて」

「セックスで一番大切なのはそれじゃないのか」



その顔でセックスとか言うな、馬鹿。
ファンクラブの女の子が泣くぞ、マジで。



「一番大事なのは愛だろ」

「お前は俺を愛していないのか?」

「だから、そういう問題じゃなくて」

「愛が一番大切なんだろう?愛し合っているなら何の問題もないじゃないか」



こいつ、殴っていいかな。
拳を握った瞬間、俺の上に跨っていたセフィロスに、唇を奪われる。
あぁ、腹立つ。
愛してるっていうなら、もっと労れよ。



「…ていうか、ヤる以外に愛情表現はないの?」



溜息混じりに言えば、きょとんとした表情で、何度か瞬きをする。
長い睫に縁取られた双眸は、俺と同じ色なのに。
ずっと綺麗なものに見えるのは、こいつのものだからだろうか。





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