06/19の日記

00:06
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今回は黄色仙人視点でいってみます。


日本語 :【】
こちら語:「」
――――――――…


〜サン.ゴ〜




「‥‥参った」

小さく呟き、その頭に浮かんでいるのは、一人の少女。
あの時は、河原で倒れているのを見つけ、どうにも放ってはおけずに、葉は目覚めるのを待った。
だが、目覚めた少女は、言葉が通じない―――異国の者だった。

自分(というよりも他人)に怯え、絶望に染まったその目を見て、葉は、何か、のっぴきならぬ事情があるのだろうと、思った。
そのまま置いていけば、死んでしまいそうで‥‥彼は仕方なく(そう、仕方なく、だ)少女を自分の家に連れ帰ってきた。

(あのまま死なれたら、寝覚めが悪いからのぅ…)

どこか言い訳染みたことを思いながらも、朝方、服をやる。
男物だったが、それを当然のごとく受け入れて着た少女は、どこか違和感があった。
着慣れていないせいだろう。

もぐもぐと無表情でご飯を食べている少女を見やりながら、葉は昨夜のことを思い出す。


   *


「葉という字は、こう書くんじゃよ」

いつまでも自分に怯えている少女の警戒心を解きたくて、葉は親しげに言いながら紙に『葉』という字を書いた。
少女は、ジッとその字を見つめていた。

「‥‥‥‥葉?」

拙いが、自分の名を呼ばれると、なぜか嬉しくなる。
多少は、警戒心を解いてくれただろうか、と葉が思っていると、少女が筆を取り、紙の上で動かす。

  帝架

そう、書かれていた。

「なんじゃ。おまえさん、字が書けるのか」

なら話は早いな。
少女は葉をジッと見て、また筆を動かす。

  字 多少

単語だが、なんとなく少女の言いたいことが解った。

「‥‥‥字は少ししか分からない、ということか。まあ、まったく分からんよりはマシじゃろ」

ひとつ頷く。
このことから、少女はなかなか、頭は悪くないようだ。
葉はまた筆を手に取り書いた。

  国 名 彩雲国

意味は伝わっただろうかと、チラリと少女の方を見れば、少女は目を見開いていた。―――驚いている。まるで信じられないものを見たかのように。

【‥‥‥‥うそ。そんなっ、】

動揺したように目をあちこちに走らせ、やがて青ざめた顔で呆けたように、紙の上に書かれたその文字に視線を落とす。
何かは知らないが、少女はとても大きな衝撃を受けたらしい。

どう声をかけたものか、と葉は眉を寄せる。

「帝架、どうした?」

とりあえず声をかけてみれば、ビク、と少女の身体が反応し、のろのろと筆を動かした。

  日本国

その字を書いた後は、少女は何も書かなくなった‥‥。


   *


「‥‥‥‥葉。葉」

「ん、なんじゃ」

目の前に意識を戻せば、少女が茶碗を指差し、次はご飯を指差す。

「おかわりか」

「ん。お、おきゃ、わり」

拙い、言葉。
葉はどこか微笑ましげに少女を見て、ご飯をよそう。

「それにしてもよく食うのぉ」

もう、大丈夫じゃな。
そう思うも、どうも危なっかしくてしょうがない。





つづく..?

葉からすると、主人公は『危なっかしい、警戒心の強い子供』に見えてます。

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