10/05の日記

20:13
実話&妄想捏造小話
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※オフィスパラレル(?)です


一護は、真剣に悩んでいた。
常よりも深く眉間に皺を寄せ、幾度とも知れぬ逡巡を脳裏に巡らせる。

事の始まりは、一通の注文書である。

ファックスにて送られてきたそれに、一護はかれこれ三十分近く頭を悩ませていた。

「……どーすんだよ、これ……」
嘆息混じりに呟くも、現状は何ら変わりはしない。
解ってはいるものの、ついぼやいてしまう程、一護は真剣に悩んでいた。

というのも。

「……大体、何で情報が一致してねぇんだよ」
深い溜め息を尽きつつ、一護は問題の注文書へと視線を落とした。

それに記載されているのは、品名と番号だった。
品名はそのままに商品名、番号は各商品に付けられた番号である。
そのどちらか一方が記載してあればいいのだが、一部の企業では両方書いてくる時があるのだ。

それはいい。
寧ろ、その方がミスをしにくいので、有り難い。
しかし、今回ばかりは別である。

「615番の珈琲豆……そりゃいいけど、615番はブレンド。で、品名がモカって……」
どっちにしろってんだよ。

流石に一人で何事かを呟くのも(今更ながら)憚られ、一護は心中で呟き軽くうなだれた。

そこまで悩むのなら、発注者に確認すればいい。
一護とて、解ってはいる。
だが、その発注者に問題があったのだ。

「ってか、何で社長が発注してんだよ……」
げんなりと呟き、一護は肩を落とした。

厄介な発注をしてきたのは、社長である藍染惣右助。
一護が、一目見た瞬間に「苦手」だと感じた人物であった。

つい藍染を脳裏によぎらせてしまった一護は、盛大に眉を寄せた。
次いで、数ヶ月前へと意識を飛ばす。


初めて会ったその日、全身に絡みつくような眼差しを終始注がれ、一護は嫌悪感を隠すのに苦労を強いられた。
また、言葉の節々に寒気を伴う不穏さがあった為、一護は藍染という人物が苦手であった。

よって、一護はどうしても確認する気にはなれなかった。
理由は、郵送する時間が迫っており、電話以外に確認する術がなかったからだ。

「だぁぁ!!もう知るかぁぁ!!」

最終的に、さほど気が長くない一護は、切れた。
まぁ、流石に品名を間違えはしないだろう、と判断を下したのだ。

よって、一護は荷物を纏め、郵送に出す。

もう、なるようになれと、心中にて吐き捨てながら。


一護が、本格的に受難へと見舞われる、僅か三日前の事である。


〜続く〜

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