支葵×莉磨

□うんざりする程
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side 莉磨

あんたは、いつもそう。


―――仕事帰り、あたしと支葵は送迎の車に揺られていた。流れる景色をぼーっと見ながらふと隣の支葵を眺めてみる。


憎たらしいほど長い睫が、病的なほど白い肌(―まぁ吸血鬼だから当たり前なんだけど)に影を作っている。
綺麗な男だと思う。玖蘭寮長の持つ絶対的な雰囲気でも、一条さんみたいな穏やかで芯のある雰囲気でも無い。
支葵の雰囲気は柔らかくて、空っぽだ。なにかに執着をみせた所をあたしは見た事がない。それをどうしたいと思ったことは無いけど、時々心配になる。



―――アンタは、自分を大事にしてる??






side 支葵
毎回思う事だが、仕事場から学園までの道のりが俺は好きだ。
なにより、莉磨と二人でいる空間は居心地が良い。


今日の仕事は昼間(俺達からしたら夜だけど)から夕方まで長時間あって、これから学園に戻って授業があると思うと憂鬱だ。
ふと、隣に居る莉磨を見つめる。
色素の薄い髪に薔薇色の唇、冬の澄んだ空の色をそのまま映し出したと錯覚しそうな蒼い瞳。
莉磨を構成するモノは、綺麗だ。





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