淡い恋の物語

□1日遅れのバースデー
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『あんな奴からもらったって嬉しくもなんともねィや』






だから走った。走って、走って、走り続けて忘れようとした。疲れて立ち止まった時、あいつの為に用意したプレゼントを投げ捨てたかった
だけど、寸前のところで手が止まる。…どうしてあんな奴なんかに…
昨日あんなに一生懸命に"クッキー"作ったのに、あいつのたった一言でこれはもういらないものになった。どんだけあいつの顔にクッキーを投げつけたかったか…。でも両手に収まりきらないほどのプレゼントを見た時、それすらもするのが嫌になったんだ
一瞬で冷める
あんな奴の何に私は惚れたのだ
あんな奴のどこがいいんだ影でこそこそ人の悪口を言う性悪男なんて



















嫌いだ









次の日の朝、教室に入れば、いつものように騒いでるクラスメイト。普段なら聞き流せる声もなぜかこの日は妙に耳に残る
「…っさい。うるさい!!」
思わず怒鳴っていた
クラスはシン。と静まり、私をみた


「…ごめん」
気まずくなり教室を飛び出した






「…んでィあいつ」









屋上では小鳥がさえずり鳴いていた。その鳥たちも私が来たことによって遠くに羽ばたく
「…」
何だよ一体。昨日のことなんか記憶の隅においやったのに、おいやったはずなのに…なんでこんなにあいつの顔が離れないんだ
嫌いなんだ
嫌いなんだ
あんな奴、嫌いなんだ








そう頭に言い聞かせても、あいつの顔が浮かんでくる
イライラしながら頭をかきむしった
「…ばか。沖田のばか」
「誰がばかでィ」
覆い被さるように声が聞こえた
その声が私のよく知るあいつだとわかるのに数秒かかった
「…っなんで」
何で来たんだ
何で着いてくるんだ


「…何でって…そりゃあクラスメイトの様子が変だったら誰だって追いかけて来まさァ」


可笑しくて言葉が出ない
こいつが言う"クラスメイト"と言う単語が妙に聞きなれない言葉だったからだ
昨日あんなことを言ってた奴の口から"クラスメイト"なんて言葉が出てくるなんて




「…のか」
「聞こえやせんぜ」
「お前はクラスメイトからのプレゼントをいらないのかバカヤロー!!」
「はっ…?」






覚えがない様子で沖田は首を傾げる。が直ぐに昨日の言葉を彼女が聞いていたことに気付く
「…あれは」
「ばか。私がどんな想いであんたにプレゼント用意したのか分かってるのか!!人の気も知らないで「どこにありまさァ」」
「ぇ…」
「俺の為に用意してくれたプレゼント」


「何言って…」
「俺ァ誰もあんたからのプレゼントをいらねぇなんて一言も言ってやせんぜ」
「じゃあ…」
「アレはチャイナ娘が土方コノヤローにプレゼントをもらったら嬉しいか?って聞くからでィ」



じゃあ…ただの勘違い
「ははは」
今度は情けなくて笑うしかない
「あはははは」






1日遅れのバースデー
(それに、俺があんたからのプレゼントを受け取らないわけがないだろィ)


7/8 沖田、ハビバ夢
主人公が勘違いすればいい←

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