* うさぎ小屋 *

□白い小鳥
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降り積もった雪も溶け、暖かな夜だった。


皆から集めた課題を提出し終えた私は、寮へと戻る帰り道を急いでいた。

ちょうど中庭の横を通る廊下に差し掛かった時――
目の端で白い影が横切ったような気がして、思わず立ち止まった。
中庭は欠け始めた月に明るく照らされていた。


消灯時間も近い夜の学校は、しんと静まり返っている。
この場所ではふくろう小屋の彼らの声さえ届いてこない。


そんな音のないはず世界の中に、すすり泣く声が小さく響いていた。


いつもならば気にも止めずに通りすぎて行っただろう。
でもこの時は違った。
私は何かに引き寄せられるように、中庭へと歩いて行ったのだ。


この悲しげな声の主を探して。




そして見つけた。




まばらに生えた木の下に、うずくまる白い人影がひとつ。
影の人物は懸命に土を掘っているようだった。


淡い色の髪が月明かりを吸い込んで、そこだけ一点、夜の中に浮かび上がっている。

見てはいけないものを見てしまったと思った。
けれど、それ以上に私は確かめずにはいられなかったのだ。



あのうしろ姿は――



いつの間にか近寄り過ぎてしまっていた。
つま先で蹴飛ばしてしまった石が、軽い音をたてて影の方へ転がっていく。


振り返った顔を見て息をのんだ。




私の目の前にいるのは―――


ドラコ・マルフォイだった。
 
 
 
 
 
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