* うさぎ小屋 *

□月に沈む
1ページ/4ページ

 
 
無数の空気の粒は

泡になって

月へ向かい

登ってゆく



乳白の月の光は

湖面を突き抜け

水の中までも明るく照らし


わたしはひとり


冷たい水の底へと沈んでいく





魚たちはもう眠りについて

わたしの瞳が捕らえられるのは


自分がまだ呼吸をしているという証と

柔らかに包む月の光だけ



伝える意味もないこの想いは

深く

深く


どこまでも深く

この躰と共に沈めてしまおう





愛する人の為に死ねるなんて

こんな幸せ きっと他にないと思う




さようなら



どうかあなたは



あなただけは生き延びて・・・
 
 
 
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ