* うさぎ小屋 *
□月に沈む
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無数の空気の粒は
泡になって
月へ向かい
登ってゆく
乳白の月の光は
湖面を突き抜け
水の中までも明るく照らし
わたしはひとり
冷たい水の底へと沈んでいく
魚たちはもう眠りについて
わたしの瞳が捕らえられるのは
自分がまだ呼吸をしているという証と
柔らかに包む月の光だけ
伝える意味もないこの想いは
深く
深く
どこまでも深く
この躰と共に沈めてしまおう
愛する人の為に死ねるなんて
こんな幸せ きっと他にないと思う
さようなら
どうかあなたは
あなただけは生き延びて・・・