云いたかった言葉(完結済)

□云いたかった言葉 2
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稚音と話した後、家に帰って爺ちゃんに「またね」と告げて…僕は帰りの新幹線へと乗り込んだ。

ヒマを持て余した僕は…ふと昔の事を思い出した。

もう10年近く前の事なのに…すんなり思い出せる位、それは印象強い記憶。



{ 云いたかった言葉 2 }




僕と歩淮の関係が始まったのは、稚音が居なくなってすぐの事だった。

たぶん稚音が居ない淋しさを…歩淮で粉らわせようとしてたんだと思う。

歩淮はどうか…解んないけど。



「歩淮くん…稚音居なくなって淋しいね」

「…別に」



歩淮は素直じゃ無くて…稚音とのさよならの時もずっと俯いて黙ってたし、今でも絶対に淋しいとは言おうとしない。

そんな歩淮に、僕は訊いたんだ。



「歩淮くんは、なんで淋しくないの?」



そしたら歩淮は―僅か6歳だというのに―物凄く真剣な顔をしたんだ。



「灯哉が居るなら…俺はそれでいい」



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