ちい姫さまの恋事情

□朧太刀
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「ささら、浮草をなんとかしてちょうだい」


「なんとかって……私には無理ですよぅ」


小さな少女に助けを求めたのがいけなかったのか。
ささらは困ったように首を横に振った。


「浮草さんは、姫さまが盗賊に襲われて帰ってきたときからずっと、姫さまを案じていたのです。ですから、今はそのまま浮草さんを安心させてあげてください」



ずっと付き添ってくれていたんだ……。


私は彼女の背をゆっくり撫でる。


「浮草……いつもは皮肉ばかり言うくせに」


「姫さまがわたくしに心配をかけるからいけないのです」


「それは…ごめんなさい」


「本当に…ご無事で何よりです」


顔をあげた浮草のつり目の端は、薄く光っていた。
何だか、変な感じ。


ささらも私に近寄ってきて、同じように心配してくれていたことを話してくれた。


「昨夜、姫さまをこちらまで運んで下さった方が、教えて下さいました。姫さまは盗賊に襲われて、それは酷い目にあわされたと」


「姫さま、盗賊ごときに何をされたのですか」


浮草が、恐ろしいものを見たかのように私に問いかけてきた。


何をされたと言われても……。



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