ちい姫さまの恋事情

□政の恋
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気がついたら、私は姉さまのいる登華殿に連れ戻されていた。

ずっと放心状態だったみたいで、松風が私の無事に安心する顔も見れなかった。


気づいたきっかけは、姉さまが私をきつく抱きしめたから。
あまりの息苦しさに、窒息死しそうなくらいだった。…言い過ぎかしら。



「いきなり有明の宮さまに連れて行かれるんですもの、大変心配致しました」


「松風…ごめんなさい」


「ご無事でなによりです」


松風は私の手を取り、頬を緩める。
余程心配をかけたのだと分かり、少しだけ罪悪感を感じた。


…って、私は悪くない。

全部、あのナントカの宮さまが私を連れて行ったから悪いんじゃないの。


今でも信じられない。
あんな軽率な態度をとる人が、宮さまだなんて。

見た目は美しかったけれど、宮さまだからってあんなことしていい訳ないわ。


あの手触りを思い出すだけで鳥肌がたった。



「羽衣ちゃん、大丈夫?」


姉さまが私の顔を覗き込み、頭を撫でてくれる。
松風からこのことを聞いていたらしく、案の定姉さまも探そうとして止められたようだ。


私は笑って、頷いた。


「それにしても……」


松風が顎に手を当て、首を傾げている。
それから私を見た。




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