ちい姫さまの恋事情
□ちい姫
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平安の世。
このご時世の恋愛は、好きなようには出来なかった。
親が決めた相手と文を交わし、それだけで相手が自分にふさわしいか判断する。
顔も性格も分からないまま結婚させられる。
だから、好きなように恋愛なんてできるものではなかった。
私だって、いつかはそうなるって漠然と思っていた。
知らなかった。
恋をすることが、こんなにも人を惑わすことが出来るなんて。
恋をすることが、こんなにも苦しいなんて。
こんなにも、溺れてしまうなんて。
この時の私はまだ知らない―――…。