其れ華番外編集

□やきもちやいちゃう?
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茴香が嫉妬…?





「そんなお顔をされてどうなされました、茴香姫?」


ふいに穂高殿が耳元で囁いたので、私の心臓が不自然に飛び跳ねた。

横を見やると、背の高い彼がわざわざ腰を曲げていたのが分かったので、私は軽く口角を上げ目で促した。


「あれです」

「ああ、あれですか」

「そう、あれです」


私と穂高殿の視線の先には、夜鷹と添木の姿。
二人はこちらと少し離れた場所で仲良さそうに話している。
とても楽しそうに。

それを見ていたら、眉間に皺を寄せる私がいた。
なので訳が分からず呆けていたところに、穂高殿が声をかけてきたのだった。


「何であんなに笑顔なのだか」

「添木がですか?」

「えぇ、俺にはあのように笑いかけるということがあまりない。それなのに主上には出来るというのは面白くありませんね」

「面白くない……」

「妬けます」

「妬ける、とは」

「嫉妬という意味ですよ。茴香姫も、妬けませんか?」


穂高殿に問われてすぐ、私は胸に手を当てる。
少し首を傾げて、あぁ、と顔を上げた。


「この気持ちが嫉妬と言うのですね…!」

「……茴香姫は分からずにずっとあれを見ていたのですか」

「わたくし自身、何を不快に思っていたのか分からなくて…今分かりました。わたくし、妬いています」


私が嬉しそうに言うと、穂高殿が鼻でふっと笑ったので少しだけ恥ずかしくなり俯いてしまった。

そして何故か、肩に穂高殿の手が置かれている。
ぐいっ、と抱き寄せられて。
また私だけに聞こえるように、彼は言った。


「俺たちも見せつけてやりますか?主上の嫉妬はあなたのような可愛いものではありませんが」

「えぇ、そうですね」


苦笑しても、抱かれる彼の温度、吐息、薫り、全てが違うのに私は違和感を覚えていた。


やっぱり、好きな人は、受け入れる人は
体が覚えているものなのね。


夜鷹でないと駄目なのだ。
だから嫉妬する。

穂高殿に教えられてしまった。


「あ゙あ゙ーーーっ!!!!」


穂高殿が調子づいて私の額に口付けしようとしたものだから、夜鷹が気付いて急いで私たちを引き剥がした。

自然と夜鷹の腕に収まると、いつもの薫りと温もりに、安心してしまう私がいた。

そう、これなの。


「貴様、俺が見てない隙に茴香に何をしようとした!?」

「別に何も。主上の勘違いでは?」

「しらをきるな!!」


穂高殿と言い争っている暫くの間、夜鷹は私を離そうとしなかった。


――――――――――****



茴香の一人称はあまり慣れないですorz
口調が定まらないのです。
因みにセリフでは「わたくし」ですね。



拍手ありがとうございました!



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