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□様々な恋のカタチ
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「ティアは先生に呼ばれてて、キプトがついて行った。……その、ごめんな。モア」


「え…?どうしてアウトが謝るんですの?」


モアはきょとんとした。
何故アウトに謝られなければならないのだろうか。むしろ、謝るべきなのは自分の方ではないか。
迷惑を、かけたのに。


アウトが困ったように笑ってみせるから、モアはどきりとした。
以前の彼からは想像できないくらい、真面目に見つめられてしまったから。


「ティアのことばかりで、モアが体調悪いの気付けなくて……ごめん」


「いいえ!」


モアはきっぱりと否定する。


「アウトのせいではないのですわ。何も言わなかった私が悪いの。
むしろアウトは私を助けてくれましたわ。私、覚えてますもの」


"モア、しっかりしろよ。早くティアたちを探して帰るから。俺が、護るから"


あの時のアウトの声。
彼だって疲れていたはずなのに、自分を抱えて連れ帰ってくれた。
本当はあの時、聞こえていたの。


「だから、あなたは謝らなくていいの。お礼を言いますわ、アウト。ありがとうございます…。本当に、ありがとう」


モアは再度礼を言うと、髪の色の名のような花の笑顔を咲かせた。
とびきりの、笑顔。

アウトはどうしたらいいか分からず、思わず顔を背けてしまった。
体が火照るような、熱いと言うか。

分かるのは、モアがもう大丈夫ということだった。


「じ、じゃあ俺寮に戻るよ。モアが元気になって本当に良かった」


「あら、もう帰るのですか?」


「あぁ。男子禁制の女子寮に俺がいることがバレたら、流石にヤバいだろう」


「それもそうですわね。アウト、ありがとうございました」


「…いや、じゃあ、な」


アウトはぎこちなく言うと、ドアノブに手をかけ部屋を後にする。

手を振っていたモアはゆっくりとそれを肩に触れさせた。


あとひとつ、覚えていることがある。

それは、アウトの抱きしめる感触。
自分を強く抱きかかえて、必死だということが嫌でも伝わってくる温もり。

どうしても、忘れられない。

まだ、抱き締められているようで。


忘れたくなかった。



「何なのでしょうね、このわだかまりは……。教えて下さい、ティア――……」



モアはベッドの上で泣きそうになるのをじっとこらえた。




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