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□エルカドル国の大冒険
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「ねぇ。あの人って、ヒーラ先輩だよね?」
 突然アイナがボソリと呟いた。え?とザズが視線をそちらへ向けると、ディオ達より前を歩くディルクの姿が目に写る。
「……あぁ。そうだな。何度か学校で見たことある」
 ザズがそう答えると、アイナは何を思ったのかいきなり走り出して、あろうことかディルクの袖を掴んでひき止めた。
「待って下さい、先輩!」
 突然のアイナの行動にディオとザズが目を見開かせる。
「?」
 ディルクは一瞬眉を寄せたが見覚えある顔に気付き、しばらく考えた。そして、
「もしかして、昨日の騒ぎの中にいた一人か?」
「はい!あの、先輩に聞きたいことがあるんです!」
「聞きたいこと?」
 眉を寄せるディルクに、アイナはこくりと頷いた。
 ディオとザズがやや遅れて二人のところに駆け寄る。
「それで?聞きたいことって何だ?」
「昨日。黒猫族の子供が街に現れて、城に連れて行かれたと聞きました。先輩は、あの後どうなったか、何か知りませんか?」
 浮かない表情の原因はこれだったのか、と一人で納得しているディオの横をザズがすり抜け、同じようにディルクに尋ねる。
「教えて下さい。俺達はあの子供を助けた。無関係ではないはずです!」
 強気なザズに、ディルクは目を丸くする。



 
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