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□エルカドル国の大冒険
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――――エルカドル王城。
城内は黒猫族の子供を保護したと言う連絡を受け、騒然としていた。
兵士達が慌ただしく門へと出て来る。もしものことがあってもいいように、すぐそばには魔法部隊も控えている。何せ黒猫族は強い魔力と高い魔法技術を持っている。たとえ相手が子供でも、油断してはならない。
城の裏手には、下働きが出入りする扉がある。少し離れたところに地下へと続く扉が設けられてある。
門からその扉に続く道に、彼らは待機していた。
程なくして、罪人を運ぶ馬車が到着した。
辺りがざわつき始める。
魔法部隊に連れられて、黒猫族の少年が降りて来た。
兵士達が彼を連れて行こうとした時だった。
「待って下さい」
静かで落ち着いた、それでいて力強い声音が辺りに響いた。
兵士達が声の方へと目をやる。その途端、全員背筋を正す。
「王子!」
さらりと背を流れる金色の髪が、歩く度に揺れる。
彼はエルカドル国第一王子、ディシオス・アスリードと言う。