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□エルカドル国の大冒険
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 二年前、エルカドル国と黒猫族は戦争になった。黒猫族は強い魔力を持ち、魔法にも長けた種族だった。しかし、国王のセオナルドによって彼らは殲滅された。滅ぼしたはずだった。
 細い道を走り抜けると、人だかりのある通りに出た。
 人だかりの中心から、魔法の光りが見えた。
「うそ、あれって魔法なんじゃ……?」
 リィリアが呟くと、ディオは人だかりの中へと入って行った。
「ディオ!」
 その後を慌てて追いかける。
 人だかりを掻き分けて、ディオは何とか騒ぎの中心へと辿り着いた。
 そして、目に飛び込んで来た光景に、目を見開かせた。
 そこには、黒猫族の特徴である黒色の猫耳の少年が、腕から血を流して座り込んでいた。彼の身に着ける服も、自身の血で赤く染まってしまっている。
 人だかりとは別に、少年の回りを五人の男が囲んでいた。
 そして、一番驚いたのが、少年と同じ位置にいるザズとアイナの存在だった。
 ザズは少年を庇うように彼を背にして立ち、アイナも少年を庇うようにしている。
「どけ!」
 男の一人が叫ぶ。
「嫌だ!」
 男の気迫に負けることなく、ザズも怒鳴り返す。
「何を!?おい!こいつを押さえろ!!」



 
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