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□エルカドル国の大冒険番外編
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 暖かい春を越え、暑かった夏を終え、食欲の秋を過ぎ、季節は寒い冬を迎えようとしていた。
 南の大国であるエルカドル国にもその兆しはあった。それほど季節がはっきりした国ではないが、それでも冬になるとそれなりに寒かった。
 冬になると、エルカドル国では冬至祭(クリスマス)を行う。祭りなどの賑やかなことがあまり好きではないアスリード王家だが、季節の変わり目、特に年の始まりの春と、年の終わりの冬には大きな祭りを行うようにしていた。春は花をあちこちに飾り、花職人達による花のオブジェが飾られていたが、冬には街の木や街灯に飾りを付け、玄関には手作りのリースを飾る。春の式典ほど派手ではないが、それでも人々が楽しんでいるのであればそれはそれで良かった。
 冬至祭の飾りは十二月中ずっと飾られる。春ほどの賑やかさはない分、期間は春の式典の二倍の四週間である。特に、二十四日から二十五日の二日間は夜通し城でパーティーが開かれる。
 エルカドル城のメインホールの中央には、クリスタルで出来たクリスマスツリーが飾られていた。更にそのクリスタルのツリーに様々な飾りを付けていく。



 
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