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□エルカドル国の大冒険
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マントを羽織った少年は、セタン地方から首都・カーラ行きの馬車に乗っていた。
ガタガタと揺れる舗装されていない悪い道を、馬車はひたすら走る。
日に何本か、街から街へと馬車が行き来する。
少年は、馬車から見える景色をただジッと眺めていた。
首都に近付くにつれ、街の風景も変わって行く。
セタンは二年前の戦争によってそのほとんどが焼け野原となった。まだ復興していない部分も少なくはない。しかし、カーラに近いセタンは、すでに二年前と同じ賑やかさを取り戻している。
国境沿いとなると山が多かったりして、支援部隊もなかなか物資を運べないでいた。
後三時間もすれば、カーラへ到着する。
これでようやく悲願を達成出来る。
少年は、我知らず口許を歪める。
ようやく復讐出来る。二年前のあの日、自分の非力さによって失った、たった一人の家族である父。
もう少年に頼れる家族も親族もいない。身寄りのない彼は、二年間、ただひたすら自分の力を磨いて来た。復讐するために。
たった一人の家族であった父を殺した者を、自分と同じように悲しみと苦しみを与えてやる。
馬車は相変わらずガタガタと揺れている。