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□時を生きる魔術師
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 その日は、とても綺麗な満月が夜空で輝いていた。





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―――約束よ?ずっと一緒にいてね………?
 まだ幼さの残る少女が、ふわりと微笑んだ。それを聞いていた、少女より少し年上の少年が、ただ薄く微笑んでいた。
 たとえ何があっても、二人は決して結ばれない運命(さだめ)にあった。
 それでも、互いを愛し合っている二人は、約束せずにはいられなかった。
 そして、残酷な運命は容赦無く愛し合う二人を引き裂いた。





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 深い闇が支配する夜。
 今宵は満月で、いつもなら綺麗な月が見えるのだが、今日は雲に隠れて良く見えなかった。
 少女はドレスの裾が翻るのも気にせず、階段を駆け上がっていた。
 階段を上がり終え、古びた扉を勢い良く開け放つ。
 肩で息をしながら、ゆっくりと歩み出した。
 目を凝らすと、奥の方で二つの人影が見えた。
「そこに誰かいるの?」
 少女は恐る恐る近付いて行く。
 すると、雲で隠れていた月が姿を表し、辺りを照らし出した。
「っ!」
 飛び込んで来た光景に、少女はハッと息を呑んだ。


 
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