未来の星空
□第I話
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良守は黙り込み、気まずさを感じる。
話さなくてはいけないことは分かっているが、何から話せばいいか分からない。
気まずくなりたい訳ではないのに。
「(何か話したいことがあるんじゃないのか?)」
微かに良守の肩が揺れる。
くしゃっと頭をなでられ、顔を上げる。
「(深く考えなくていい。
ゆっくりでいいから自分の言葉で話してごらん)」
重たい口をゆっくり開く。
『(俺‥‥パティシエの才能ない?
パティシエが似合わないって…)』
悲しくて辛くて、ただ涙が零れる。
「(そんなことない。
才能がないからって、諦めるものじゃないよ。
才能なんてものは限られた人しかない。
好きだから、パティシエになりたいんだろう?
それはみんなが同じことだ)」
『(‥‥ホント?)』
「(あぁ、本当だ。
自信がなくても自然と自信もついてくる。
最初は失敗して当然なんだよ)」
優しく頭をなでられ、諭されるように慰められた。