未来の星空
□第@話
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それは涙となって溢れ零れ、その気持ちを木にぶつけるように何度もその拳で叩いた。
『ぅ‥っ‥わあぁぁ―――ッ!!!』
烏森に良守の泣き声が響く‥‥。
「あんたはよくやったよ、良守…」
『‥‥斑尾』
一番間近で見ていただけにパートナーの気持ちは分かる。
『‥‥本当は分かっていたんだ。
きっと振られるだろうと。それでも、俺の想いは受け入れて欲しかった。気持ちだけでも理解して欲しかった。それなのに‥っ‥
最後まで、家柄に邪魔されちまった…。
時音の気持ちが聞きたかったな‥‥』
泣くだけ泣いて落ち着いたのか、良守は木に寄りかかりながら星空を見上げていた。
『…綺麗な満月だ。
おまえとこうして見るのも最後だな――』
「そうだねェ…
またいつか、見たいもんだわね」
『‥‥その頃には傷も癒えてるかな』
曖昧な微笑みを良守は浮かべていた。
その隣には斑尾がいた。
-END-