未来の星空
□プロローグ
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烏森を封印してから良守は好きなことに没頭していた。
寝不足ではなくなったのだが、最近遅刻が多くなった。
学園側には事情を話してあるので怒られることはない。
『すみません、遅れました〜』
「早く席に着け」
『はい』
皆は事情を知らないので不思議そうにしていたり、不満そうにしてたりする。
「先生、何で墨村だけ遅刻しても怒らないんですか」
「贔屓だ〜」
「墨村は事情があって遅れているんだ。
寝坊とかじゃないし、学園長に特別許可を貰っている」
チラッと黒須先生が良守を見た。
「…話しても構わないか?」
『はい』
意味が分からないクラスメイトは不思議そうに黒須先生と良守を交互に見ていた。
「墨村が遅刻する理由はコンテストのケーキを作っていたんだ」
「ケーキ…?」
「コンテスト!!?」
『パティシエの資格を持たなくても参加出来るコンテスト。
まぁ、簡単に言えば15歳から参加出来るお菓子作りのコンテストかな。ほとんどがパティシエだけど。
別に優勝したい訳じゃないし、自分が今どれくらいの技術があるのか試したいんだ』
良守は夢に向かって歩き出していた。