四天夢2

□ショタコン疑惑浮上中!!W
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大阪府立四天宝寺中学校。

学内に四天宝寺華月なる漫才会場があったり、校長の挨拶で皆ズッコケたり、イロイロな意味でおかしい学校。

でもその濃い学校で、私にとって彼という存在は鮮烈なものだった。




ショタコン疑惑浮上中!!W




「せんせー、どこ出るか教えてやー」

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「おおきに…って全範囲やん!!」

「先生に聞く方が間違っとるわ!!」

廊下ですれ違いざまの生徒とのやり取り。

出るとは、私が受け持つ数学のテスト問題のことで、四天宝寺中は一週間後に試験を控えているのだ。

やはり数学は苦手な子が多いらしく、この手の質問をよくされる。

まぁ聞かれたって教えへんけどな。


「ほんなら、俺が聞いても教えてくれへんのですか?」

「だーから、誰にも教えな…」

いって言ってるでしょ。そう言いかけて、聞き覚えのある声に急いで後ろを振り返る。


思った通り、そこにいたのは財前くんだった。

どくりと、心臓が鳴る。

中学生のくせに背が高く、壁に肘をついて私を見るその姿は、なんともさまになっていた。

「先生、顔赤うなってますよ?」

にやにやと笑いながら、財前くんはこっちに歩いてくる。

図星で固まってしまい、それに上機嫌な財前くんは調子に乗って顔を近づけてきた。

「ざ、財前くん、何か用事?」

片手で財前くんの顔を逸らして、くるりと後ろを向く。

火照りを静めようと、手で顔を扇いだ。


「今日から部活休みで先生に会えんようになるから、わざわざ出向いてやったんです」

「すっ数学の時間に会うやろ」

照れているのを必死に隠そうと、思わず突き放すような口調にってしまう。

それすらも彼には見抜かれているように感じて、ますます後ろを意識して振り向けなくなる。

「それはほんまに会うだけや。俺は先生と話したいねん」

試験前は準備室も入られをようなるしな。

と言って、財前くんは私の肩をつかんだ。

そのまま反転され、財前くんに顔をのぞき込まれる。

「生徒と雑談するんも先生の仕事ちゃいますの?」

「〜っ、ごもっともです…」

小悪魔度120%超の笑顔に、ついに根負けしてしまった。

いや、あれに負けない女はいないと思う!!

カッコイイって反則や。


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