立海夢

□雪降る夜に
1ページ/1ページ


冬はキライだ

だって寒いもの

だけど、雪は好き

アナタと似ているから


少し曇ったガラス越しに、雪降る外を見る


「精市は雪みたいだね」


そう問われた本人は、読んでいた本から視線を外して微笑んだ


「いきなりどうしたんだい?」


本を置き、背後からそっと私を抱きしめられた


「雪には二面性があるの

しんしんと降り、心穏やかにしてくれる雪

積もって時には猛威をふるう厳しい雪

どちらも大切なことを教えてくれる

テニスをしているときの精市みたい」


そう言うと、精市はぎゅっと抱きしめる腕に力を入れた


「それは褒め言葉と取っていいのかな?」


「うん

両方とも精市の優しさだから

テニスをし続ける困難さを知ってる精市だからできることなんだよ」


精市の手に私の手を重ね、そっと目を閉じた


精市が厳しいことを言うのは、部員を想ってのこと

精市が勝ちにこだわるのは、テニスができない辛さを知ったから

精市が勝ち続けることで、立海の“常勝”の掟が確かなものになっていく

ちゃんとわかってるよ

精市の大変さも、精市の気持ちも

皆わかってるから、精市について行ってる

精市の厳しさは優しさだから




私の肩に顔をうずめ、精市は言った







ありがとう。











雪降る






END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ