空のお題

□『台詞で10のお題』
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『ん?なんだよ(咢視点)』


別に嫌ってわけじゃないんだ。ただ、恥ずかしい、それだけ。
でもすっごく勇気がいる。

だから一々聞くんじゃねぇ。と心の中で悪態をついた。


「なぁ、咢」
「ん?なんだよ」


久々の2人っきりの帰り道。
話すことなんてなくて、ただ並んで歩く。それが苦じゃない辺り、もう『2人っきり』と言う状況に慣れた証拠。

そんな時、不意に葛馬が口を開いた。


「手、繋がね?」


つか、繋ぎだいんだけど、と言い繋げて、視線をこっちに合わせてくる。

何を言ってるんだ、こいつは。
いつもはそんな確認なんてしなくてもして来るくせに、時たま今みたいに確認してくるときがある。


「咢?」


確認するように名前を呼ばれる。
ついでにダメ?と言わんばかりに顔を覗き込んでくる葛馬の視線から逃れる為に少し顔を逸らした。


「…ファッキングバカ!!」
「いてっ」


それでも顔を覗き込んでくる葛馬を殴る。
確実に顔が赤くなっているのが分かった。きっとそれも見られてしまっているのだろう。
分かってはいたが、やっぱりなんだか恥ずかしくて。


「なぁ、咢、」


次に続いた葛馬の言葉に更に顔が赤くったのは‥言わなくてもいいよな。

END H21/07/04
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