SSサンプル部屋

□被害者の会(時間軸4の後)
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みぬきと王泥喜、話し合っている。別室には成歩堂と牙琉響也。

み「みぬきの被害の話は、今は置いときましょうよ。」
王「―――― えっ?」

みぬき、立ち上がり主張。
み「コッチは親を殺されてます。
でも、その件では、アノ人を牢屋に入れちゃったし。もう、いち段落してますから。」

み「みんなが困ってるの見たら…。みぬきが、助けてあげなくちゃ、って思って。
今、レーセーに考えることができるのって、みぬきだけだから。」

み「弱いんだなァ…、みぬき。パパがツラそうにしてるの、見ちゃうと。
パパを養ってる身としては。」

みぬき、王泥喜に説明する。
み「パパは今、キョウヤさんのことで悩んじゃってます。
真実が明るみに出て、いちばん傷ついたのは、キョウヤさんだって…。
現に、キョウヤさんは、パパを告発したときのコトを、深くコウカイしちゃってるみたいで…」


成歩堂、フラフラしながら王泥喜とみぬきの所に来る。
成「オドロキ君…。ちょぉっと、いいかな…?」
王「成歩堂さん!」
成「牙琉検事の相手、してあげてくれるかい。今、彼を1人にしないほうがいい。」バトンタッチ
王「は。はあ。分かりました。」
王泥喜、別室へ行く。

み「パパ、大丈夫? 笑顔が消えてるよ!」
成「脳ミソ、フル稼働で…。少し眠りたい…。」疲れた…



王泥喜、牙琉のところへ来る。
響「おデコくん…」

響「きみは…牙琉霧人を、どう思っていた…?」
王「―――― 『どう思っていたか』…。過去形ですね。
一流の弁護士…。できることなら、先生の知識と戦術を、もっともっと…、教わりたかった…」
響「きみにも、申し訳ないことをした…。一流の弁護士だなんて、だましていたんだからね…」
王「一流と言われていたのは、世間の評判だし…! 牙琉検事がすまないと思うことじゃないですよ!」
響「…………。成歩堂も…、彼も同じことを言うよ…。でもね……」
王「成歩堂さんとは、さっき、どんな話をしたんですか。」



回想。成歩堂と牙琉の会話。

響「ぼくは、検察の立場を利用して、牙琉霧人の用意したニセモノを、法廷に持ち込ませた。
ぼくのしたことは、幇助だろう。」
成「それは違う。きみは牙琉霧人が用意したとは知らなかったし、あれの提出にきみ自身は全くからんでいない。
幇助にはならない。」
響「アンタに、違法な証拠を提示させるようにしむけたんだ、ぼくは…。
だから、教唆だ。」
成「教唆にはあたらない。」
響「何を…!」
成「教唆にはあたらないよ。
きみは検察側だろう。きみが『証拠を出せ』と言った、弁護士が出した。それが違法な証拠だった。
どこの世界に、それで検察の教唆をとる法律があるんだい。」
響「けど、事実は…! ぼくがいなければ、成立しなかったんだぞ!」
成「何をもって、事実とするかだけど。
きみの、法廷での行為は、何の法律にも反しない。
厳しい言い方かもしれないけどね。法律に引っ掛からない以上、
きみのしたことは何ひとつ、犯罪にはなり得ないよ。」

響「せめて、法廷侮辱罪を…。さかのぼって、ぼくにも…」
成歩堂、首を横に振る。
何「もう、終わったんだ。」
響「でも。でも…」
何「ムリだよ。…分かってるだろう。ホントは。」

響「誰が何と言おうと…。
ぼくさえいなければ、あんな事態にならなかった…。なのに…!」

響「苦しいんだ…。罰も受けず。とがめられもせず…!」
成「……とがめられれば、いいの?」

成歩堂、牙琉の肩に手を置く。
成「牙琉検事。」

成「身内からの情報をうのみにして、ウラも取らず。ずいぶん、ウカツだったんじゃないのかい。」
響「…………。」
成「新人だからって、許されないあやまちだったな。」
響「…………!」
成「きみが身内を信じるのは自由だ。人として当たり前のことだ。
でもね。検察の人間なら、証言をきちんと精査すべきだったんじゃないのか。
それを怠ったのは、間違いなく、きみの落ち度だ。」

成「…………。こんなもんで、いい?」

成「弁護士やってたからね…。思ってもいないことを、口先だけで言うのは。
……できることはできるけど。
まあ、プライベートでは、あんまりやりたくないな…」
響「ごめん。嫌なこと、言わせて…。ごめん…。」
成「きみの気持ちが、少しでも軽くなるなら。また、言ってあげるよ。」



回想ここまで。
王泥喜と牙琉。

響「彼のしたことは、分かってる…つもりだ。
でも。それでも。牙琉霧人は、たしかに、ぼくの人生の一部を作った人なんだよ……。
もし彼がいなければ、ぼくは検事になっていたか分からないんだ…。
ぼくはこれから、どうして、何を信じて生きていけばいいのか…」

牙琉、涙をこらえながら。
響「おデコくん。きみや、成歩堂が言っている事が正しいのかもしれない…。
でも。怒らないでほしいんだけど。
ぼくには、全く、考えられないんだよ…!
ぼくが、つぐなわなくていいなんて、どうしてそんなことが言える?」



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2012/10/21

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