小説・成響部屋

□(その他)
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(両想い)
成歩堂→キザ
牙琉→やや乙女
王泥喜→とてもいい人



「気にするよ。あの日のことは。……当然だろう?」
「過去のことを気にしてたって、なんにもならない。キミは、今のボクだけを気にしていればいいんだ。」
「………………。
なにそれ。バカじゃないか?」
「どうした? 顔が真っ赤だよ。」



「お話は解りました。それはもう、成歩堂さんと、よおく話し合ってください!」
「待ってくれ! ボクは本当に困ってるんだ! 相談に乗ってくれ!」
「オレにはどうすることもできませんよ! 介入できない!」
「なにも弁護士として聞いてくれなくていいんだ! だから、放課後の男子の会話だと思ってくれ、と言ったんだよ!」
「オレはなんにも、アドバイスなんてできませんし! 二人の問題で……!」
「お願いだ! 他に相談できる人がいないんだよ!」
(……放課後の男子の会話なら、逆に「やっちゃえよ!」っていう論調じゃないのか?)

「あの人、たまに、すごくキザなセリフを言う時があってさ。恥ずかしいったら……」
「ふうん……。じゃあ、こんど、新曲の歌詞に使ってみたらどうですか?」
「歌詞に? いいね…………いや。やっぱり、やめとく。」
「?」
「せっかくボクだけに言ってもらったのに、他人に教えたくない。」
(お、乙女だ!)



「成歩堂さん。あの……」
「なに。」
「成歩堂さんは、牙琉検事のことを、その……、どう思ってるんですか?」
「どうって…………入れたい。」
「ブッ!」
「うん? なんだい、そのことが聞きたかったんだろう?」
「…………そうですけど。そんなにストレートに返されるとは思いませんでしたから。」
「こんな話こそ、ストレートに言わなきゃ、ちゃんと伝わらないじゃないか。」
(……あ。今の、ちょっとカッコイイかも。)
(――なるほど。こういうところか。)

「あんなさ、恋の歌なんか歌っちゃってるけどさ、要するに口先だけなんだよ、彼は。
つまんない男なんだ、まったく。」
「落ち着いてください。牙琉検事だって、歌手である前に、人間なんですから。」
「ボクのほうが相談したいぐらいだ。どうすれば、彼がボクの要求に応じてくれるのか。」
「……勘弁してください。それは二人でよおく話し合って……」

「なら、どうして7年前のことを引き合いに出すんですか?」
「……あの日が、ボクら二人にとって、大事な日だからだよ。」
「!」
「あの日起こったことがなんであろうと、全部、特別な思い出なんだ。忘れるつもりなんて、ないね。」
「でも、誰もが成歩堂さんみたいに強くはないですよ。」
「検事がそんなにヤワで、務まると思うかい? 彼はもうちょっと、鍛えられる必要があるかな。」
(なんだ……。なんだかんだいって、愛されてるんだな。
よかったじゃないですか、牙琉検事。)
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