小説・成響部屋

□Invitation
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「キミはどっちなんだい。」
「……え。」
不意を突かれ、牙琉は、成歩堂の質問の意図を測りかねた。
「つまり、キミが、男になるのか、女になるのか。
こんなふうにするとき、キミはどっちなの。」
成歩堂から決定的な説明を聞かされ、牙琉は重大な覚悟を迫られていると自覚した。
冗談ではなさそうな空気だ。
「いや……そんなこと、考えたこともなかった。」
牙琉は答える。頭にカーッと血が上るのをはっきりと感じながら。

まさか、まさかこんな体勢で成歩堂に組み伏せられるとは、夢だに思わなかった。
自分が今、いったいどこにいて、これからどこに向かうのか。
今から自分の身に何が起こるのか。まるで理解できない。

「ふうん? じゃあ、キミが女でいいよね。悪いけど、ボクはごめんだ。」
成歩堂が断じた。
もともと大きくはだけていた牙琉のシャツの隙間から、成歩堂の指先が入ってきた。
腹筋や胸筋をくすぐる。
その感触を味わってよいものか、牙琉は激しく迷う。
感じたいのはやまやまだ。
しかし、成歩堂の気持ちがよく解らない。それがイヤだった。
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