小説・成響部屋

□5ビジュアル発表記念SS
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(牙琉と王泥喜の会話)
成歩堂さん(34)の法廷の日。
裁判所の廊下でバッタリ出会う牙琉響也と王泥喜法介。



「やあ。おデコくん。」
「牙琉検事! 来てたんですか。」
「復帰、おめでとう。キミから彼に、伝えておいてくれないか。」
「わざわざ傍聴にきてくれたんですから、直接、本人にどうぞ。控え室にいますよ。」
「いいよ。ぼくは、もう帰る。」

「…大丈夫ですか。」
「え。何がだい。」
「だって、成歩堂さんが…」
「!(ドキン)」

牙琉、王泥喜の腕をつかむ。
「彼が、何か言っていたのかい? ぼくのことを?」
「あの…」
「待って、ああっ。聞きたくない。どうしよう…っ」
(ナンギなヒトだな…)
「すまない。取り乱して。」
「成歩堂さん。弁護士復帰したのは、牙琉検事のためなんだって。そう、言ってました…」
「……!」

「でも、復帰すればそれで、めでたしめでたし、といえるのか…。
現実に、7年間もの長い間、成歩堂さんは弁護ができなかった。
それを全部なかったことにするのは、かえって牙琉検事の気持ちが救われないんじゃないか。
牙琉検事は成歩堂さんの弁護士資格剥奪に関わっただけで、埋め合わせができないままじゃ、
罪悪感を抱えたままで、ずっといなきゃならないんじゃないか…」
「…………」
「だから、その埋め合わせは、これからしてもらうって。
成歩堂さん、そういって、笑ってましたよ。
あの人、いったい何を企んでいるか、分からないから、ちょっと気になって…」
(な、な、何をさせられるんだろう、いったい…
でも、彼がそこまで考えてくれてたなんて…。本当に? ど、どうしよう…。)
牙琉、急激に顔が赤くなる。

「牙琉検事? どうしたんですか? ボーッとして。」
「いや、その。違うよ。オレは……あっ違う、ぼくだっ」
「牙琉検事。もしかして、テンパってます?」



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2012/9/8
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