捧げ物

□under one umbrella
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*2万打御礼 雪見柚様*




日番谷は珍しく一人、瀞霊廷の外れにある訓練場に来ていた。
小屋とも言える小さな建物があるだけの平野は土が剥き出しになっており、この場所を周りから隠す目的か、囲む様に木々が立ち並ぶ。人の気配はない。
日々の仕事に追われ、一年は来ていない様に思う。死神の一年など瞬き一つ程の時間だが、体格も経験も他の隊長等より何回りも違う日番谷にとっては一年とは言え、大きい。
その一年を取り戻す様に訓練をしていた日番谷だったが、雨に降られ屋根の下へ避難していた。
雨は日番谷にとって最も攻撃力が高まる基盤ではあったが、雨に濡れながら訓練をして体調を崩しては元も子もない。
霊圧を上げればそれさえも凍ってしまうし、逆に雨に濡れることに抵抗はないが、そこまでして修業する気になれずどうしたものか、と空を見上げつつ雨宿りをする。
雨雲に覆われた空は日暮れが拍車をかけ鬱々たる黒さだ。
疲れた体を壁に預け、雲の流れをひたすらに見つめていた日番谷は揺れる霊圧にぎょっと体を起こした。

「あ、藍染、市丸…?」

日番谷の方へ向かってくるのは一つの傘で並んで歩く藍染と市丸。
大の男二人が相合い傘で歩いて来る姿は異様だ。

「いたいた。雨宿りしとるで、あの子」
「そうだね。なんで君達はあんなに曇っていたのに傘を持ってこないんだろう」
「傘なんて荷物になるだけや!ええやん、傘持っとるお人がおるんやし」

近いというにはまだ早い距離でありながら二人の会話は日番谷の耳に入ってくる。
クスリと笑みをこぼしながら二人を大人しく待った。






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