過去の女神と未来の天使〈胎動〉

□第拾伍話 ラーメンは醤油
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始業5分前。シンジと一夏はやや遅く登校した。


「おはよう、綾波」
「おはよう、碇君、織斑君」


シンジも一夏もクラスメートと親交を深め、気軽に話せるようになった。


「宮藤さん、おはよう」
「芳佳、おはよう」
「おはようございます。あ、二人とも聞きました?」
「何をだ?」
「転校生が隣のクラスに来るらしいですよ。しかも代表候補生の」
「へー」


代表候補生。このクラスには二人もいるが反応は


「あら、今更ながら代表候補生の転入とはどういうことかしら?」
「別にいいんじゃない。私は興味ないけど」


挑発と受け取ったり興味無かったりと人それぞれだ。


「一夏も今度のクラス対抗戦頑張らないとね」
「そうだな」


来月行われるクラス対抗戦。その名の通り1年1組〜8組のクラス代表がぶつかり合うリーグマッチだ。ちなみに優勝したクラスには学食デザートの半年フリーパスが与えられる。これにクラスの女子が燃えている。
今のところ、一夏以外にクラス代表が専用機を持っているのは2組と4組。うち片方は国家代表候補生なので尚更気が抜けない。


「頑張ってください、一夏さん」
「ああ…………ん?」




ザワザワ



ザワ……ザワ……




何やら廊下が騒がしい。六人は廊下を覗いた。
隣の2組の前で二人の少女が揉めていた。


「だーかーらー昨日の試合は無効だって!いいからあたしの言うこと聞いてよー!」
「アンタねぇ、試合開始前に確認取っていいって」
「言う前に突っ込んできたじゃん。だからむこー!」


必死に試合の無効を求めているのはルッキーニ。前に一夏の部屋に隠れていた少女だ。そしてルッキーニの我が儘にイライラしている少女。一夏は見覚えがあった。


「鈴……?」
「……一夏!」


少女はルッキーニとの口論を切り上げ、一夏に駆け寄った。しかし、


「久しぶり一夏〜!」
「なっ…………」


ルッキーニが少女を抜いて先に駆け寄った。少女は無理矢理ルッキーニの袖を掴み引き寄せる。


「ちょっと!あんた一夏のなんなのよ!」
「別に〜知り合いってだけだよ。ね〜」
「いいから一夏から離れなさい!」
「うるさいなぁ、鈴は。鈴こそ一夏のなんなのさ」


ルッキーニはジト目で鈴と呼ばれた少女を睨んだ。だが鈴は怯まずここぞとばかりに少ない胸を張り自慢するように語った。


「あたしは一夏の幼なじみなのよ!あんたと違って付き
合いが長いのよ」
「そっか〜、一夏と鈴は付き合っムグッ」


鈴はルッキーニの口を塞ぎ、周りに聞こえないよう小声で呟く。
いわゆる脅しだ。


「あんたねぇ……これ以上余計なこと口走ったら『甲龍』で顔面を握り潰すわよ」
「ムグ〜〜!!(ひぃ〜〜!!)」


ミーナや美緒よりは恐くは無いが命の危機に晒され、ルッキーニは必死で頷く。


「ったく……」
「あ、でもあたしだって夜這いして一夏と」


ダンッ


「「「ちょっと話を聞かせ」」」


バシンバシンバシンバシンバシンバシンバシンバシン


連続して出席簿が頭に直撃した。振り向くとやはり千冬が立っていた。


「SHRの時間だ、さっさと自分の教室へ戻れ」
「す、すみません……」
「うにゃ〜……」


二人は千冬に睨まれすごすごと2組へ戻っていった。残る6人も再び怒られる前に戻っていった。





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