過去の女神と未来の天使〈胎動〉

□第捌話 集結する少年少女
1ページ/2ページ

その日、世界恐慌や大規模テロと肩を並べるくらい震撼させるニュースが全世界に報じられた。




『日本から男子IS操縦者が二人も登場!!』
『史上初の男子操縦者!一体何故!?』
『イケメンIS操縦者誕生!』



新聞やテレビでも一夏とシンジに対する記事ばかりだ。
ISを操縦できる男子は前例が無い。世界各国も喉から手が出るほど欲しい。
更にシンジが国籍を取得していないと噂が流れ、パニックとなった。しかしシンジ自身も知らぬ間に日本国籍が取得され、IS学園へ入学手続きを済ませていた。
IS学園在籍中はいかなる機関からの介入を受けないので国々も手を出せなくなった。
だが、一夏はまだ済ませていなかった。直ぐさま世界各国は専門家を派遣し一夏を手に入れる準備を既に実行していた。




そしてその頃一夏は


「…………」


家に引きこもっていた。
一歩でも家から出れば報道陣からの質問の波が押し寄せる。
窓から姿を覗かせるとフラッシュが瞬き、夜中でも昼間のように明るくなる。手続きをしたいが出るに出れない。
そして一夏が出した結論は『家から出ないこと』。一歩間違えれば人生が危険だが今はベターな策だ。
やることも無いのでテ
レビをつけた。


『世界で初となる男子IS操縦者が』
『もうすぐ皆既日食』
『一体何故織斑一夏君と碇シンジ君は』
『男子IS操縦者誕生!その訳とは』


どのチャンネルも似たようなニュースしかやっていない。
毎日メディアで自分の名前が叫ばれているのは一夏にとって結構辛い。が、テレビを点ければ連呼するように何度も呼ばれる。
仕方なく一夏はテレビを消した。


「どうすりゃいいんだ……」


姉に迷惑をかけぬと決意して試験会場に向かったが道を間違えた結果、逆に姉に迷惑をかけてしまった。しかも藍越学園への入学も出来なくなってしまった。例え事情を話しても理解してもらえないだろう。


「どうすりゃいいんだ……」


一夏は同じ言葉を繰り返した。






顔に何か降ってきた。
一夏は降ってきた何かを見た。


「なんだこれ」
「IS学園の制服だ」


千冬は一緒にIS学園の資料を投げ渡した。


「千冬姉、帰ってたのか」
「ここは私の家だ、そりゃ帰ってくるだろ」


千冬は冷蔵庫から冷えたビールを一本取り出した。


「てかIS学園の制服って……俺まだ入学するだなんて」
「入学手続きは既に済ませた。あそこにはどこ
の国も手出しは出来ない。それに、もう一人の男子も入学手続きを済ませている」
「……」


さすが我が姉と、一夏は感心した。しかし勝手に話が進んでいたことに何も言えなくなった。
一夏ははぁとため息をついた、


「そう落胆するな、IS学園も高校も同じだ。まぁ女子校の雰囲気も感じるが慣れれば溶け込めるさ」
「詳しいんだな、千冬姉」
「ああ、まあな」


千冬は適当に返事をして二本目のビールを口にした。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ