過去の女神と未来の天使〈胎動〉
□第肆話 零式VS使徒サキエル
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第肆話 零式VS使徒サキエル
ピーピーピー
再び警報音が鳴り響いた。
「ん?今度は誰かな?」
「宮藤さんはまだ飛んでますけど……」
「んー、さっきのネウロイと同じ反応……」
絵のように空間がひび割れた。
隙間から巨大な腕が伸び、ひびを更に広げていく。
「使徒だ……」
「わーお、こりゃまた大きい」
ひびの中から出てきたのは使徒、サキエルだ。かつてシンジが初めて初号機に乗って倒した使徒だった。
「束さん、ISを貸してください!」
「もちろんだよ、シンちゃん!」
束はニンジンもどきの中へ直ぐに戻り腕時計をシンジに投げ渡した。
「初号機、来い!」
芳佳は悪寒を感じた。
振り返ってみると巨大な黒い物体がシンジ達の前にいた。
「まさか、ネウロイ!?」
芳佳は180度方向転換して、黒い物体に向かった。
背中にあったライフルを手にとり、照準を黒い物体の頭部らしい部分に定めた。そして引き金を引く。
「えっ……」
銃弾はオレンジのシールドに阻まれ弾き飛ばされた。黒い物体は振り返り、芳佳を見つけた。
「もういっか……!!」
芳佳
はシールドを張った。黒い物体、サキエルの手からレーザーが放たれ芳佳のシールドを弾いた。弾かれた勢いにバランスを崩して真っ逆さまに落下していく。
「宮藤さん!」
「シンジさん……」
シンジは地面スレスレで芳佳を捕まえ、そのまま滑空するようにサキエルから離れた。
「あれは僕達の世界の敵、使徒だ」
「使徒?」
「宮藤さんの銃じゃATフィールドは破れない、この初号機のATフィールドと中和させないと効かないんだ」
「え、じゃあ」
「ここで待ってて」
シンジは芳佳を降ろすと直ぐに使徒へ突撃していった。
「…………」
「ふっふっふっ……お困りのようだね」
振り返るとニンジンもどきが芳佳の真後ろに移動していた。
「さっきシンちゃんが使ってた陽電子砲使う?」
「それで、ATフィールドを破れるんですか」
「十中八九の割合で可能だよ」
ニンジンもどきから出た束は蒼い腕輪を芳佳に渡した。
「とりあえず仮のIS、これさえあれば撃てるよ」
「ありがとうございます!」
芳佳は腕に装着した。
「IS呼ぶときの名前は適当でいいよ」
「わかりました」
(……お願い、零式)
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