過去の女神と未来の天使〈胎動〉
□第参話 初号機VSネウロイ
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第参話 初号機VSネウロイ
「グッドモーニング、シンちゃ〜ん」
「ん……」
作業は日付が変わっても終わらず気づけば昼を過ぎていた。
「完成したよ、シンちゃんのIS」
「本当ですか!」
「うん、これ」
束が差し出したのはISではなく紫色の腕時計。シンジはとりあえず受け取り、腕に着けた。
「これでどうするんですか?」
「普通においでって念じれば出てくるよ」
シンジはISを呼び出した。
全身が光に包まれ、あっという間に紫色のISアーマーが展開された。所々に初号機の名残があることにシンジは感慨深く感じた。
「名前はあとで自分で付けていいよ。とりあえず基本を――――」
ピーピーピー
束のポケットから警報音が鳴り響いた。
「お、早速来たね!シンちゃん行くよ!」
「行くってどこにですか?」
「決まってるでしょ、よっちゃんを助けに」
「…………」
芳佳は巨大なニンジンもどきに隠れている。
束のボタンを押した途端、さっきまでいた白い空間に戻ってきていた。
しかもネウロイと一緒に転移していた。
目標を失ったネウロイは悠々と空間を縦横無尽に動き回ってい
る。
「私一人でなんて……!」
ネウロイは芳佳の姿を確認するとクジラのように身体を曲げて旋回した。そして芳佳に向かってレーザーを放った。
「きゃあ!!」
芳佳はシールドでまたなんとか受け止めた。しかしその間にもネウロイは芳佳に接近する。
芳佳は隙を見てシールドを消し、ネウロイの上に飛び上がった。
上部に組織が剥がれかけ、剥き出しになったコアがあった。
「これで!!」
芳佳は狙いを定めて引き金を引いた。しかし若干ぶれてコアの周りに着弾し、コアには傷一つ無い。
ネウロイは芳佳を突き放すべく速度を上げ、距離を広げていく。
「あと少しなのに……!」
ネウロイの左翼が切り落とされ、バランスを崩したネウロイは急旋回した。
しかし、芳佳は何もしていない。
「まさか!」
「大丈夫ですか?」
ISに乗ったシンジが芳佳の元へやってきた。彼の手には小型のプログレッシブナイフが握られている。
「あれが宮藤さんの言ってたネウロイ?」
「そうです」
「やっぱりコアとかあるの?」
「はい、ネウロイのてっぺんに宝石みたいなコアがあって」
「わかった、行くよ」
「はい!」
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