過去の女神と未来の天使〈胎動〉

□第零話 プロローグ
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第零話 プロローグ






世界は壊れつつあった。
第10使徒の襲来により第三新東京市は壊滅、ジオフロントを守る計24層の特殊装甲もあっさり破壊された。
無断で2号機の凍結を解き、真希波・マリ・イラストリアスは単独で出撃した。
裏コード『ザ・ビースト』で一時は優勢になるが触手のような攻撃で活動不能に。
そして入れ代わるようにファーストチルドレンこと綾波レイが乗る零号機がN2爆弾を抱えて使徒に突撃し、自爆を諮った。
だがこれも失敗に終わり、零号機とレイは使徒に取り込まれた。それにより識別信号が零号機になった使徒は一気にセントラルドグマを下降して司令室へ突入した。
避難していた碇シンジはマリの誘導で再び初号機に乗り、使徒に挑む。
片腕を失いながらも使徒を追い詰めるが活動限界に達し、動かなくなった。








「綾波を、返せっ!!」








シンジの心に反応した初号機は覚醒し、再び使徒に挑んだ。
圧倒的な力で使徒を撃滅し、レイを救うことに成功した。










「数が揃わぬうちに初号機をトリガーにするとは…………碇指令、ゼーレが黙っちゃいませんよ」


加持リョウジは見上げながら呟く。

線の先に浮かぶのは初号機と使徒の残骸で形成された綾波レイ。
碇ゲンドウと冬月コウゾウも同じように仰いでいた。


「やはりあの二人で初号機の覚醒はなったな」
「ああ、我々の計画にたどり着くまであと少しだ」








覚醒した初号機をミサト達は呆然と眺めていた。


「この世界の理を超えた新たな生命の誕生。代償として古の生命は滅びる」
「翼……15年前と同じ」
「そう、セカンドインパクトの続き。サードインパクトが始まる、世界が終るのよ」








「綾波、父さんのことありがとう」
「ごめんなさい。何もできなかった」
「いいんだ、もう。これでいいんだ」


シンジはそっとレイを抱き寄せた。










そして、古の生命は全て滅した。




シンジとレイは何も無い空間をウォータースライダーのように流されていたがお互いを離さないように必死に耐えていた。
しかし、レイの温もりが薄らいでいく。姿も砂の塔が風化するように崩れていく。


「綾波!」
「碇く――」


声は遠ざかるように掻き消えて、温かさも完全に失せた。
手を伸ばして求めるが空を切るように何も触れられなかった。



「綾波ぃ!!」




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