〜短編〜


□浦島蘭太郎・前編
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昔々あるところに、浦島蘭太郎という織田家に仕える小姓がおりました。


蘭太郎は少女のような美しい顔立ちをしていましたが、剣の腕は達人並でした。

おまけに忠義はあつく、仕事も真面目に素早くこなすスーパーボーイでした。





ある日、蘭太郎は今晩のおかずの買い物へと、海辺の道を歩いていました。


すると「フギーフギー!」という奇妙な、しかし苦しそうな声が聞こえて来ました。


辺りを見回すと、砂浜にその変な鳴き声の生き物?を取り囲んだ人の輪がありました。


蘭太郎は不審に思い、その輪に近寄って声をかけました。


「何をしているのです?」

蘭太郎の声に振り返った男は、嫌悪感いっぱいの表情で眉間にくっきり皺が表れていました。


「貴様には関係のないことだ」


「でも…苦しそうに鳴いているじゃないですか、ソレ…」



ソレ、と指された輪の中心にうずくまっている白っぽい生き物?を見た。


不思議な生き物はなおも鳴き続けていたが、蘭太郎の出現で場の空気が変わったことを察知したのか、大声で鳴くことをやめ、ちらりと蘭太郎を見上げました。

「フ、フギ〜…?」



目が合った!



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