〜短編〜
□雪で遊ぶ
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幸「よし…できた!」
三「もうできたのか?」
幸村は照れ笑いをしながら三成に自分の作った雪だるまを披露した。
二本の角を付けた雪だるまと、四角いボディーに三角の帽子を乗せた雪だるま。
幸「えへへ…三成殿と兼続殿です」
三「ほぅ、よくできているな。特にこのイカだるま」
幸「ありがとうございます」
幸村は嬉しそうに二つの雪だるまを優しく撫でた。
三「ところでこのイカだるまのモデルとなった当の兼続は…あれは一体何をしているのだ?」
幸「…あれは雪像を作っているんですね、本格的に。」
兼続は、長方形に固く積んだ身の丈ほどの雪の塊を、細かく削りながら型取っていくという繊細な雪像制作に取り掛かっていた。
幸「上杉謙信の像……ですね」
三「リアルすぎて逆に気持ち悪い」
指先まで細かくしっかり作り込まれている雪像を見て、二人はツッコミたい衝動に駆られた。
しかしツッコミより気持ち悪さが勝ったので、とりあえず真剣に雪像制作をしている兼続は無視することにした。
幸「そういう三成殿は雪だるま、できました?」
三「俺は雪だるまよりもっといいものを作った」
そう言って三成が見せたものは、大量の雪玉だった。
ざっと2〜300個はありそうだ。
幸「これは…?」
三「この短時間でこの数を用意するのは骨が折れたぞ。これはだな、こうやって使うのだ」
三成はおもむろに雪玉を一つ掴み、ビュッと投げた。
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