★オリジナル小説★
□ひまわり
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『いー匂い〜!!甘くて辛くて香ばしくて美味しい匂いだよ…』
はぐれないようしっかりと誠の指を握りしめてトコトコと後を着いていく。辺りは大分暗くなり、人々の数も増えてきた。彼らがペットとして広まってはいる物の、本物を見るのは初めてらしく物珍しげにまろんをじろじろと見る人も居たが、誠がジロッと見下ろせばすぐに皆視線を反らし逃げていった。
「…何か食うか?」
キョロキョロと目移りばかりしているまろんの手を引いて問い掛ければ、慌てて口元を手で拭いて誠を見上げる。
『うん!でもどれも初めて見たからどれが美味しいのか、まろんわかんない』
「…そうか」
クス、と笑い見下ろし一番近くにあった露店に行き、そこで買った物を差し出す。
『…これ何?…爆弾?』
両手で受け取って首を傾げ誠を見上げる
「……爆弾が露店で売ってるかι…あんず飴だ。甘くて俺は好きじゃねえけどな」
ふ〜んとあんず飴を見つめてから、ペロリと一口舐めてみる。
『……!甘い……冷たくて美味しい//』
ニコッと満面の笑みを浮かべて誠を見ると、良かったなと誠もつられて微笑む。
小さな舌を覗かせてぺろぺろと美味しそうに舐めているまろんを時頼見下ろしては、人の流れに合わせて進んでいった。