★オリジナル小説★
□ひまわり
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『誠ちゃん、今日もお空は青くて雲は美味しそうだねぇ…。』
『きっと、甘くてね口に入れるととろけちゃうんだよ。』
『誠ちゃんは大人だから食べた事あるんでしょ〜?』
パタパタと小さな尻尾を振りながら窓の外に広がる青い青い空を見上げる。幼いまろんは雲は食べられるものだと思いこんでいるのだ。
『お出掛けしますか?』
ソファーに座り新聞を広げていた誠と新聞の間に潜り込み、あぐらの間からひょっこりと顔を出す。太ももに頬を乗せてジーッと見つめ、誠と目が合えばにっこりと笑う。
「……そうだな」
チラリとまろんを見下ろすと新聞を畳んでボックスに突っ込み、まろんを片手抱き上げる。首もとと袖口にふわふわのファーをあしらった起毛の服が誠の腕をくすぐる。
「買い物でも行くか…忍達も出かけてるみてぇだしな…」
『忍ちゃんとキヨちゃんは、おでいとに行きました。まろんと誠ちゃんもおでいとに行こう?』
片手にまろんを抱えたまま、車のキーを取ると2人はリビングを後にした。