story
□-lost story-
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父が亡くなってから、誰も書斎へは入らなかった。
そのせいか、少し埃っぽい。
扉を閉めて数歩歩いた。
そこには父の机が置いてある。
その机を囲むようにして書棚が並ぶ。
私は電気をつけて父の書棚を眺めた。
私はハッと息を飲んだ。
何度か訪れたことのある父の書斎。しかし、その書斎にあった本は全て父が著した本だった。
しかも、全部違う本・・・。
「・・・。」
なんで今まで気付かなかったんだろう・・・そんな疑問が浮かぶ。
1番手前にあった本を1冊とった。
恐る恐る開いてみる。
父が記した本たち。
私が1度も読んだことのない父の本。
外は激しい雷雨となった。
雨の音が小気味よく聞える。