短編

□ある日の出来事
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俺は今 衣都の部屋


つまり衣都の家に来ている



初めて入る空間に些か緊張気味



8畳程の洋室が、広く感じられる



学生らしく机と本棚があり、小さなテーブルにベッド全身を写せる鏡とシンプルな部屋だ




てっきり衣都の趣味でピンク色でヒラヒラまでは行かないが

少女趣味みたいなゴチャゴチャしてる物を予想してたから少し驚いた




17年間、この家に居て

どんな事を考えて

どんな事を感じて

過ごしてきたんだろうか



衣都が作り出した、この空間に俺が居て

同じ時間を過ごす事が出来るって凄ェ幸せを感じる




カチャ


「お待たせ!!
はい。コーヒーどうぞ☆」



「おっ!サンキュ」



俺はブラックで衣都は紅茶か



衣都が作ってくれたと思えば

この苦みも甘いモノへと変わる



「晃サンは、いつもブラックだよね?苦くないの?」



デカイ目を俺に向け首を傾げる



「この苦みが良いんだよ。衣都も飲むか?」



そう言いカップを差し出した



「うん。晃サン、いっつも美味しそうにしてたから飲んでみたかったのv」



何て目を輝かせて、一口啜った



「Σ!?  にがっ!!」


一瞬にして眉間に皺を寄せ紅茶を含みだした



「苦いよ〜よくこんなの飲めるね」



少し眉間の皺がなくなった



「乳飲み子には早過ぎたか?」



ニヤリと笑ってやれば



「乳飲み子でも良いもん!」


外方を向き拗ねた顔になった



ころころと変わる表情が豊かな感情を物語る



「クククッ
んな拗ねんなよ。衣都のは甘いんだろ?」



「これ? うん甘いよ☆」


「普通、甘いモノ飲んだ後にブラックじゃ苦みが強く感じんだろ」



「あ、そうか!!
でも、いつかブラックの似合う人になりたいなぁ」




「似合う人?何だそれ」



「ん?私ね、ブラックって大人なイメージなんだ。

だから、それが似合う人になりたいの」



少し照れながら言う衣都が正直可愛いと思う



「20才越えたら、それから死ぬまで大人だぞ?

子供扱いされんのは、人生の中で少ししかねぇんだから十分に味わえ」



暫らく考え込んだ衣都が



「…よく考えればそうだね。なら沢山甘えようかな」


「だろ?」



「さすが年の功だね☆」



「Σ!?バッ ふざけんな!!」




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