雫
□いち
1ページ/8ページ
ポツポツポツ………
小さな雫が空から舞い降りた。
こんな日は
人恋しくなる………
――――
――
ウィーンと自動ドアが開くと同時に「いらっしゃいませ」の声。
会社から出た時は薄暗く低い雲が空一杯に広がっていただけだったが
改札を抜け家路に着こうと歩きだして数分にて本降りにかち合った。
「…チッ」
(あぁ…髪もスーツもびしょ濡れだ)
朝にセットした髪から水が滴り落ちてるのに気付きそれを掻き上げる。
(やっぱ天気予報は当たんねー)
朝に見たテレビでは「今日1日は洗濯日和でしょう」と、若い姉ちゃんが言ってたハズだ。
余計な物買わせやがって
(一人暮らしなんだから傘は1つで十分だっつーの)
何て心の中で悪態を吐き、目的の物を持つ。
傘とタオル
金を払い店の軒下に出てタオルで髪を拭くも
糊の効いたタオルは思いの外、水分を含んではくれない。
(ま、拭かねーよりかはマシだろ)
ゴシゴシと拭いたタオルを首に掛け傘を開く。
「…帰ったらシャワーだな」
、