年下彼氏の恋物語

□第十四話
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「響クン、タクシー…って顔恐いよ



「え!?」



「ココに力が入ってる」



苦笑いを浮かべ眉間を指差された




手で思わず眉間を隠す



「クスッ

タクシー混んでるみたい


1時間掛かるって」



俺の隣に座り微笑む望サンがいつもの雰囲気じゃなくてドキドキする




「そ、そっか…なら歩いて帰るよ//」



視線を合わせられなくて

外方を向きながら話す



「取り敢えず頼んだから待ってなよ」



「え…でも俺が居たら迷惑じゃないの?」



「…あんまり見られたくなかったけど仕方ないじゃない?」




天井にあるライトが仄かに望サンを照らす




見慣れない格好


いつもより少しだけ濃い化粧



いつもより近い距離




そして今まで見てきた中で一番大人な望サンに



俺との年の差



自分はガキなんだと思い知らされる




やっぱり歩いて帰るよ。と伝えようと口を開く前に


見知らぬ女の人の声が聞こえた



「望チャンの彼氏?」




声の主を見れば母親と同じくらいの年に見える




背が小さくて目がデカくてポッチャリしてる



「マ、ママ!」



望サンの焦った顔が、やっぱり自分は来てはいけなかったんだと思わせる




「超イケメンじゃない!」



ママと呼ばれた人は両手で頬を包みながら俺を見た




店にいる俺以外の客もママの言葉で俺を見だした




あっちこっちから刺さる視線に動揺する



「あら!こっちで寝てる子もイケメンじゃないの」




何だか動物園の中の動物になった気分だ




「ママ、タクシーが掴まらないから


タクシー来るまで、この子達を店に置いといて良いですか?」



「何を言い出すかと思えば…私がイケメン好きなのしってるでしょう?

何なら私のツバメになる?」



ツバメ?



鳥?



俺は言われた意味が分からないでいたけど


ママが妖しく笑うから思わず「お断わりします」と咄嗟に言っていた



望サンは唖然とした顔をキープ中




こんな顔するんだ



俺は稀少なモノが見れたと思ってたけど



あまりに動かないから望サンの肩を叩いた



トントン


「望サン?」



顔を覗き見れば、ようやく俺と視線が絡まった



「大丈夫?」



「う、うん…ちょっとビックリしただけ」



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